2008/10/22

『ゆれる』

ゆれる」 ★★★★☆

ゆれる(2006年/日本)
監督:西川美和
原作:西川 三和 『ゆれる
出演:オダギリジョー、香川照之、伊武雅刀、新井浩文
   真木よう子、木村祐一、ピエール瀧

大いにゆれた。あいまいな記憶の中で、有罪と無罪との間で、兄と弟の間で。

有罪か無罪かってところで意見が分かれそうだけど、やっぱり無罪なのかなぁって思ってる。弟の心理状態によって変わる事件のシチュエーションに惑わされがちだけど、意識するしないは別として実は弟の方は最初から兄の無罪を疑っていたんじゃないかなぁというのが率直な感想。そう思う根拠は多々あるけれど、疑心暗鬼の末に兄の有罪を確信してしまうという二度目の面会のエピソードを見るとやはり心から無罪を信じているとは思えないんだよね。

一方兄の方はというと、直接手を下したわけではないけれど、自分があの場にいたことで“結果的に”彼女を死なせてしまったのだから有罪であると考えている。弟の偽善者ぶりも結構なものだけれど、それ以上に兄の聖人君子じみた偽善者ぶりにはムカムカさせられた。表面上は別として結局は兄弟どちらともお互いに心を許しあっていなかったわけで、そういう意味ではラストで和解したように見える二人のその後が見てみたいと思った。

作品自体の印象としては“多面性”って言葉がぴったりだと思う。登場人物の多面性、事件の多面性。見る人と角度によって様々に変化する様子が上手く描かれていると思った。さらに見る者をザワザワと落ち着かない気分にさせる雰囲気といいグラグラと定まらない出演者達の心理状態といい、いいとこ突いてるなぁって思う。

それだけに残念だったのが裁判風景。全体的に締まらないというかだらしないというか、なんとも中途半端な感じがしてもったいなかったです。特にキム兄の恐ろしいほど素人臭い演技はどうにかならなかったんだろうか、と思わずにはいられなかったですね(それが狙いだとしたら恐ろしいけれど)。

個人的には兄役の香川照彦の演技が時々行き過ぎててヤバめだったのが印象的。あと、冒頭車中で弟と被害者との間で交わされる会話。あの雰囲気であの台詞は反則だと思うよ。

是非原作も読んでみたい!

 →ゆれる 公式サイト
 →AMAZON ゆれる
 →eiga.com ゆれる
 →allcinema ゆれる

posted by クマ at 23:28 | Comment(2) | TrackBack(2) | ★★★★☆



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この記事へのコメント
はじめまして☆

わたしも遅ればせながら観ました。
確かに、あのラストの後
あの2人がどうなったかは知りたいですね…。
古い8ミリを見たことだけで、
あの兄弟の葛藤が解消されると考えたら
それこそ偽善かもしれません。
7年というのは映画ではすっとばしでしたが
兄にとっても弟にとっても
様々なことが起きていたはずで
それが最後の笑顔ですべて
昇華されてしまうとも思えない気もします。
考えれば考えるほど
難しいですね。

わたしも感想を書いているので
よかったら遊びに来てください!
TBもさせていただきますね♪
Posted by 永岡瑞季 at 2008年12月10日 09:44
永岡瑞季さま
コメントどうもありがとうございます。亀レスでスミマセン(汗

この作品は感想を書くのに久しぶりにいろいろと考えさせられた作品でした。
一言では表現できない程色々な要素が詰まっている作品だったと思います。
そしてあの2人は和解出来たのでしょうか…。非常に気になりますよね。
Posted by クマ at 2009年01月05日 22:05
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ゆれる #1190
Excerpt: 2007年 日本 西川美和監督。見た目かわいいのに、映画はこんな感じで作るんだ。ふーん。・・素敵! なんだか独特の間を持ってる。何気ない生活がある日狂気を生み出してしまい、その後の兄弟の運命を左..
Weblog: 映画のせかい2
Tracked: 2008-10-23 14:10

「ゆれる」
Excerpt: 監督・脚本:西川美和企画:是枝裕和出演:オダギリジョー 香川照之 伊武雅刀 新井浩文 真木よう子 蟹江敬三 木村祐一 田口トモロヲ ピエール瀧配給:シネカノン(2006/日本/119分/カラー)東京で..
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