2006/02/20

『書を捨てよ町へ出よう』

邦画も捨てたもんじゃない。


本日の映画は『書を捨てよ町へ出よう』。寺山修司初監督作品。1971年とちょっと古い作品ではありますが、映像も音楽も今でも十分に通用する内容かと。ストーリはあるようで無いような結構曖昧な感じ。最初の方こそ必死になってストーリーを探しながら鑑賞していましたが、途中から一生懸命観てるのがアホくさくなって考えるのをやめました(笑)。感想は一言「ワケワカラン」。だけどそのワケワカランな感じが不思議と面白いのです。枠に囚われない独特のセンスに惹かれる、そんな映画でした。

しょっちゅう万引きを繰り返す祖母、ウサギに偏執的に愛情を注ぐ妹、世間からドロップアウトした父。そんな歪んだ家族と暮らす私。サッカー部の彼を尊敬し、鬱屈した毎日を過ごす私を軸に、渦巻く欲望や怒り失望といった感情を過去と現在、そして幻想イメージを織り交ぜて描いた作品。ーと書いてはみたものの、冒頭にも書いたように「ワケワカラン」な内容なので、監督がホントに伝えたかったものがなんだったのかってところは正直よく解りません(笑)。でも悪酔いしそうな映像や、やけに尖がった音楽、ところどころに挿入される意味深な詩などからして何かしらダイレクトに響いてくるモノはありましたよ。言葉にするのはちょっとむずかしいんだけどね。

この作品で特に印象に残ったのは「くどさ」。作品冒頭暗闇からボーっと浮き出た私が延々と聞き取りにくい青森弁でしゃべり続けるシーンからもわかるように、この作品の演出はかなりクドイ。最近流行のサラリとした淡白な演出とは対照的に、一つ一つのシーンをこれでもかっていうくらい時間かけて撮ってます。あまりのしつこさに思わず「まだ引っ張るか(苦笑)」って言いたくなりますね。しかも映像だけじゃなく音楽なんかもくどくって、結構な音量で延々リピートされるサビを聞いてるとちょっと頭がクラクラしちゃいます。

あと抜群に良かったのが映像センス。中でも印象的だったのは娼婦の部屋。怪しげな壁の画とか真っ赤な布団や襦袢、お経の書かれたシーツとか。なんかねっとりした感じでヤバーイ雰囲気。スタッフ紹介の説明によると何でも寺山監督は娼婦役の新高恵子さんの大ファンだったとか。なるほどね。あと、なんといっても美輪明弘演じる“地獄のマリ”を忘れちゃいけないでしょう。今でこそ異色タレントとして有名になっちゃいましたが、若い頃の彼はホントに美しかったんだなぁって思いますね。しかも性別を超えた美しさとでも言うんでしょうか。すごくいいもん見たって感じ。

女性には不愉快な描写が若干含まれていますが、全体的には刺激的な作品だったと思います。特に表現手法としてはなかなか面白いので、興味のある方はご覧になってみてくださいませ。結構衝撃的ですよ。
*****作品データ*****
書を捨てよ町へ出よう(1971年/日本)
監督:寺山修司
出演:佐々木英明、斎藤正治、小林由起子、平泉征、森めぐみ、丸山明宏
  →この作品をAMAZONで確認
posted by クマ at 13:40 | Comment(2) | TrackBack(2) | ★★★★☆



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この記事へのコメント
こんばんは★
トラックバック&コメントありがとうございました。

ホント、クドかったですよね(笑)
しかも長すぎ!!

初の長編映画だったから張り切って色々詰め込みすぎたのかな・・・??

『田園に死す』はホント良かったですよ。
『書を捨てよ町へ出よう』よりもさらに洗練されてたし、寺山が言いたい事がよく伝わってきました。

クマさんも機会がありましたら是非とも鑑賞してみて下さいね!!
Posted by マイコ at 2006年06月18日 21:45
マイコさん こんにちは♪
ホント今思い返してみてもクドい映画だったと思います。あと結構下品だし(笑)。
『田園に死す』、面白そうですね〜。
是非時間作って観てみたいと思います!
Posted by クマ at 2006年06月19日 16:56
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Excerpt: 書を捨てよ町へ出よう
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Tracked: 2006-05-08 02:58

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