『血と骨』 ★★★☆☆血と骨 (2004年/日本)
監督:崔洋一
原作:梁石日
出演:ビートたけし、鈴木京香、新井浩文
田畑智子、オダギリジョー、松重豊
中村優子、唯野未歩子、濱田マリ
ビートたけし、恐るべし。
のっけからビートたけしと鈴木京香のまさに身体を張ったような過激な性描写にやや引き気味。強烈な暴力描写が話題となっていたこともあって過激な暴力シーンは覚悟の上でしたが、性描写の方は全く予想していなかったので結構衝撃的でした。しかし、ビートたけしは凄かったですね。「キレる」っていう状態はまさにあんな感じのことをいうんだろうって思います。
ストーリーは1923年、済州島から一人日本にやってきた金俊平の壮絶な人生と、そんな凶暴で自己中心的な彼に翻弄される家族や親類、そして仲間達の姿を描いた作品です。原作は第11回山本周五郎賞を受賞した梁石日の同名小説。在日朝鮮人という微妙な立場、1920年代という時代背景、度重なる暴力、留まるところを知らない欲望、酒、金、そして女。何にも遠慮せず自分の欲望の赴くまま勝手に生きる主人公の姿は、当初危惧していたほど嫌悪感を抱くことも無く、ただただその存在感に圧倒されるばかり。主人公の金は著者梁石日の父親がモデルになっているとのことですが、ホントにこんな人がいたら周りの人たちはさぞ恐ろしい思いをしただろうなって思いますね。
みどころはなんといっても豪華な出演者たちの鬼気迫る演技の数々。なかでもビートたけしの演技は、あまりの凶暴さに観ているこちらもおもわず恐怖を感じるほどでした。現実でもこんな風なんじゃないか、思わずそう思ってしまうほど迫真の演技。ただしこの映画で描かれている暴力は他のバイオレンス作品といわれる作品で描かれるそれとはちょっと異なった感じがします。エンターテイメントとは程遠いというかなんというか。ただひたすら痛々しい、そんな感じです。そういう意味では彼の周りを取り巻く金と暴力に屈せられた女性達の悲痛な姿もまた、痛々しさを加速させます。唯一彼に正面から反旗を翻したのが息子ただ一人だったというのも真に皮肉な話です。
迫力ある映像も素晴らしかったし、出演陣の力のこもった演技も素晴らしかったのですが、ストーリーについては少々物足りなかったなぁというのが正直なところ。特に彼を恐れおののく周囲の人々はともかくとして、彼自身の深層心理に共感しづらいってところはチョット問題有りといった印象をうけました。あのような常軌を逸脱した行動を彼にとらせる原因は一体なんなのか、その一点が非常に気になりますね。原作はそのあたりも緻密に描き込まれているようなので、ぜひ一読してみようと思います。
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