2006/02/28

『血と骨』

血と骨』 ★★★☆☆

血と骨 (2004年/日本)
監督:崔洋一
原作:梁石日
出演:ビートたけし、鈴木京香、新井浩文
   田畑智子、オダギリジョー、松重豊
   中村優子、唯野未歩子、濱田マリ

ビートたけし、恐るべし。


のっけからビートたけしと鈴木京香のまさに身体を張ったような過激な性描写にやや引き気味。強烈な暴力描写が話題となっていたこともあって過激な暴力シーンは覚悟の上でしたが、性描写の方は全く予想していなかったので結構衝撃的でした。しかし、ビートたけしは凄かったですね。「キレる」っていう状態はまさにあんな感じのことをいうんだろうって思います。

ストーリーは1923年、済州島から一人日本にやってきた金俊平の壮絶な人生と、そんな凶暴で自己中心的な彼に翻弄される家族や親類、そして仲間達の姿を描いた作品です。原作は第11回山本周五郎賞を受賞した梁石日の同名小説。在日朝鮮人という微妙な立場、1920年代という時代背景、度重なる暴力、留まるところを知らない欲望、酒、金、そして女。何にも遠慮せず自分の欲望の赴くまま勝手に生きる主人公の姿は、当初危惧していたほど嫌悪感を抱くことも無く、ただただその存在感に圧倒されるばかり。主人公の金は著者梁石日の父親がモデルになっているとのことですが、ホントにこんな人がいたら周りの人たちはさぞ恐ろしい思いをしただろうなって思いますね。

みどころはなんといっても豪華な出演者たちの鬼気迫る演技の数々。なかでもビートたけしの演技は、あまりの凶暴さに観ているこちらもおもわず恐怖を感じるほどでした。現実でもこんな風なんじゃないか、思わずそう思ってしまうほど迫真の演技。ただしこの映画で描かれている暴力は他のバイオレンス作品といわれる作品で描かれるそれとはちょっと異なった感じがします。エンターテイメントとは程遠いというかなんというか。ただひたすら痛々しい、そんな感じです。そういう意味では彼の周りを取り巻く金と暴力に屈せられた女性達の悲痛な姿もまた、痛々しさを加速させます。唯一彼に正面から反旗を翻したのが息子ただ一人だったというのも真に皮肉な話です。

迫力ある映像も素晴らしかったし、出演陣の力のこもった演技も素晴らしかったのですが、ストーリーについては少々物足りなかったなぁというのが正直なところ。特に彼を恐れおののく周囲の人々はともかくとして、彼自身の深層心理に共感しづらいってところはチョット問題有りといった印象をうけました。あのような常軌を逸脱した行動を彼にとらせる原因は一体なんなのか、その一点が非常に気になりますね。原作はそのあたりも緻密に描き込まれているようなので、ぜひ一読してみようと思います。

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posted by クマ at 14:33 | Comment(6) | TrackBack(3) | ★★★☆☆



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この記事へのコメント
コメントありがとうございます。
<あのような常軌を逸脱した行動を彼にとらせる原因は一体なんなのか

まさにその点ですよね。今となっては昭和在日DVオヤジ以外の印象は殆ど無い映画っすw
同じく崔監督作品の「クイール」も何を描きたかったのかが希薄なんですよね、自分が合わないだけなのかもしれないですがw
Posted by lin at 2006年03月03日 08:34
linさん こんにちは。
確かに時間が経つほどに暴力描写以外の記憶が曖昧になってきました(笑)。
「クイール」は観てないんですが、同じような上滑ってる感じの作品なんだとしたら、あまり期待しないほうがよさそうですね。
Posted by クマ at 2006年03月03日 16:23
はじめまして。ブログサーフィンしてて、辿りつきました。

>出演陣の力のこもった演技も素晴らしかった
ですよね。ほんと、気迫溢れる演技ばかりでした。

>現実でもこんな風なんじゃないか。
俺もそんな印象でした、北野武。
「その男、凶暴につき。」を思い出すような部分もありました。
でも、やっぱり在日とか戦後とか想像が及ばない深層心理が露で、そこが分析されていないのは物足りなかったですね。

公開時にたまたま大阪の鶴橋に行ってました。
鶴橋は別名コリアンタウンで、この映画のポスターがたくさん張ってあったのを思い出しますw
Posted by dk at 2006年03月28日 00:27
dkさん はじめまして、こんにちは。
武、怖かったですよね〜。「その男、凶暴につき。」は未見なのですが、あのキレ方は半端じゃないですよね。思い出しても怖いです。心理描写が物足りなかった分、暴力シーンだけが強烈に印象に残ってますね。

>公開時にたまたま大阪の鶴橋に行ってました。
あまり大阪に詳しくないのでイマイチピンとこないのですが、東京でいう大久保みたいな感じなのかな?
この映画の影響もあると思うのですが、「コリアンタウン」と聞くとちょっと怖そうな感じがしなくも無いですね。偏見かしら?
Posted by クマ at 2006年03月29日 15:59
結構後味悪かったりします、この映画。

>東京でいう大久保みたいな感じなのかな?
たぶん、そうです 笑
なんせその大久保も行ったことないので。。。
鶴橋は、チマチョゴリを来た女性がたくさんいました。で、チヂミの屋台とかがあって面白かったです。

多少、雰囲気が独特なので確かに慣れるまでは時間がかかりそうなところでした。
でも、慣れちゃえば面白そうです┌|∵|┘

あ、TBさせてもらいます〜。
Posted by dk at 2006年03月29日 22:46
dkさん TBどうもです♪
おぉぉ、チマチョゴリ姿の女性がいらっしゃるとはかなり本格的ですね。チヂミ大好きなんで、大阪に行ったときは是非寄ってみますね。
Posted by クマ at 2006年03月31日 15:31
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「血と骨」 催洋一監督
Excerpt: 梁石日(ヤン・ソギル)の原作を読了しての劇場鑑賞。催監督作ならではの期待もするし、豪華キャストにもそれぞれのキャラを被せてさらに希望も膨らんだ。 原作の活字の世界から思い描く自分の映像思考力はいかが..
Weblog: 雑板屋
Tracked: 2006-03-02 12:25

「血と骨」
Excerpt:  血と骨 コレクターズ・エディション 「血と骨」 ★★★ (2004年日本) 監督:崔洋一 キャスト:ビートたけし、鈴木京香、新井浩文、田畑智子、オダギリジョー 公式サイト
Weblog: NUMB
Tracked: 2006-03-03 08:29

「血と骨」70点。
Excerpt: ちょうど一年前に大阪のコリアンタウンに遊びに行った。 すごく面白かった。 そこの焼肉屋にもチゲを食べたお店にもこの映画のポスターが張ってあった。 きっと、この映画の舞台は俺が遊びに行った付近..
Weblog: mountain77 D.Reverse side
Tracked: 2006-03-29 22:48
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