2010/01/29

『接吻』

接吻」 ★★★★☆
接吻 (2008年/日本)
監督・脚本:万田邦敏
出演:小池栄子、豊川悦司、仲村トオル

殺人の容疑者に共感を抱き、自分の人生を変えていく女性の物語。TVで無差別的に一家を惨殺した男を見、その表情に共感した冴えないOLが犯人と獄中結婚する、というかなりキワドイ話なのだけれど、こうした現象は実際に起こっているそうで、この作品もそうした事件からインスピレーションを受けて作られたらしい。作品自体はフィクションなのだけれど、こういう女性がいたとしてもおかしくはないなぁと、妙に納得してしまうところに気味の悪さを感じた。

ストーリーと同じくらい興味をひかれたのは、冴えないOL役を演じた小池栄子の存在。amazonなどのレビューでも彼女の演技は高く評価されているのだけど、確かに彼女の演技は予想以上だと思う。陰鬱さを絵にかいたような影のある存在感も不気味だし、何といっても目が怖い。まさに怪演の域。

特に印象的だったのは面会を重ねるごとに変化していく小池栄子の姿。社会から孤立すればするほど生き生きとした表情に変わっていく小池栄子がたまらなく不気味。彼女の言動を追うごとに、恋愛感情とは違った「何か」に突き動かされていることがじわじわと伝わってくる。自分を共犯者と見立て彼と結婚することで、彼女もまた社会に復讐しているのかもしれないな、と思った。だからこそ、彼が控訴(すなわち罪を認めない)を決めたことも、弁護士の助言を聞き入れたことも、全て自分への裏切り行為でしかなく、その瞬間に彼も、そして弁護士もまた彼女の敵となってしまったのではないだろうか。裏切られた彼女は、彼と同じ「殺人」という罪を犯すことで、彼と彼をそそのかした弁護士に、そして社会に復讐する。そして最後の接吻。あれはきっと、小池栄子の世間の偏見・差別に対する「挑発」なのではないかと思う。



ブログランキング参加中。気に入って頂けましたらClickお願いします→
posted by クマ at 11:00 | Comment(0) | TrackBack(1) | ★★★★☆



前後の記事へリンク
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのTrackBack URL
http://blog.seesaa.jp/tb/139619479

『接吻』
Excerpt: 接吻 一家惨殺犯と孤独なOLとの交流 国選弁護人が見た二人の行く末は... 【個人評価:★★★ (3.0P)】 (自宅鑑賞)
Weblog: 『映画な日々』 cinema-days
Tracked: 2010-02-09 03:22
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。