2006/03/02

『マルタイの女』 ★★☆☆☆

マルタイ:警察における身辺保護の対象者の俗称。


本日の映画は『マルタイの女』。先日観た伊丹十三監督の『あげまん』がおもいの他面白かったので、今回は同じく撮りだめてあった伊丹監督のこの作品をチョイス。1987年の『マルサの女』から始まり、『ミンボーの女』『スーパーの女』と変化していった“女シリーズ”の最後の作品であり、また伊丹監督作品の10作目、そして遺作となった作品です。

「ミンボーの女」の公開直後に伊丹監督が暴力団の男たちに斬りつけられるという事件が起きたらしく、その際に監督と夫人の宮本信子(この作品では主人公ビワコを演じてます)が実際にマルタイとなった経験をもとに作られた作品とのこと。今でこそ、警察の取調べや事情徴収、裁判での駆け引きなんかの知識は他の映画やドラマの影響でそれなりに持ち合わせてはいますが、初めてこの作品を鑑賞した際には、そりゃもう知らないことばかりで結構衝撃を受けた覚えがあります。たとえば犯人の自供に信憑性を持たせるためビワコに余計な事をしゃべるなと釘をさしたりするシーン。知ってしまえばなんてこと無い内容なんですが、改めて言われて見ると「確かに!」って感じ。うーん、勉強になります。

コメディ作品としては他の作品に比べると多少落ちるかな?といった感じの作品。他の作品とは違って殺人事件や裁判などシリアスな設定が多いところはなかなか新鮮です。作品の重要な位置を占めるカルト教団の存在や捜査の内容そして取調べ、ビワコがマスコミと対峙するシーンなどなど伊丹風にデフォルメされた演出はとても面白いのですが、なんかちょっとノリが悪いんですよね。個人的にはこの作品自体が実体験を元にされているだけに、複雑な感情が完全に昇華されていないように感じる演出がたまに見受けられたってことが原因の一つかと思います。現実を斜めから観て小バカにしたようなあの底抜けに明るい伊丹節がこの作品ではあまり感じられなかったのがチョット残念なところ。

とはいうものの、宮本信子を始めとするバラエティに富んだ出演人がみせるすばらしい演技の数々はやっぱり見応えありますよね。個人的に今作品で印象に残ったのは髪の毛燃やされちゃう西村雅彦とこの映画に出演するためにやっと痩せた身体を再び太らせたという逸話の残る伊集院光。あと弁護士役の恐ろしく怪しい風貌の江守徹。ちなみによーく画面を見ていると結構有名人がチョイ役で出てたりするのでその辺に注目して見るのも面白いかもしれないです。
*****作品データ*****
マルタイの女(1997年/日本)
監督:伊丹十三
出演:宮本信子、西村雅彦、村田雄浩、高橋和也、津川雅彦、江守徹
  →この作品をAMAZONで確認
posted by クマ at 15:38 | Comment(2) | TrackBack(1) | ★★☆☆☆



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この記事へのコメント
ご無沙汰しております。私も最近wowowで見たのでTBしますね!
遺作となっただけになんとなく現実とリンクしていて(るような気がして)複雑です。
西村雅彦さんは、もし伊丹監督が生きていたらそのままずっとレギュラーで定着しそうでしたね。
では!
Posted by 映画のせかいマスター at 2006年03月02日 18:05
映画のせかいマスターさん、こんにちは!
>西村雅彦さんは、もし伊丹監督が生きていたらそのままずっとレギュラーで定着しそうでしたね。
確かに!今では三谷メンバーっぽくなっちゃいましたが、伊丹監督作品でもいい味出してますよね。
最近伊丹作品にはまってますので、鑑賞し次第、またレビューしますね。
Posted by クマ at 2006年03月03日 08:30
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マルタイの女 #499
Excerpt: 1997年 日本 131分 伊丹監督第10作目であり、遺作でもある最終作。いろんな意味でネタ満載。ドタバタを昇華させた点では面白いと思った。さあ、どこから書き始めよう。 カルト教団 作中にオウム事..
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Tracked: 2006-03-02 18:02