2006/03/09

『みんな誰かの愛しい人』

不機嫌の連鎖反応。


本日の映画は『みんな誰かの愛しい人』。コンプレックスの塊のような女性ロリータを中心に、2つの家族とその仲間達が、みなそれぞれの思惑に従って意見の衝突や和解を繰り返しながら人生を送っていく姿を描いた作品。とっても女性的な視点で描かれているな、っていうのが私の印象です。女性の方なら一つくらいは共感できるエピソードが必ずあるのでは?この映画を観て自分の人生を見直すきっかけにしてみてはいかがでしょう。そして男性の方には女性ならではの思考回路を理解するのに一役買ってくれる、そんな作品かもしれません。

有名作家エチエンヌを父に持つロリータ。いつも脚光を浴びている父とは裏腹に、お世辞にも美人とはいえない顔に少々太り気味のプロポーションと、野暮ったさの抜けない自分に激しいコンプレックスを抱きながら毎日を送っていた。ある夜家族と連れ立って出かけたパーティーでジャーナリストの卵セバスチアンと知り合うものの、彼女のコンプレックスが邪魔をしてなかなか心を開けない。そんなある日、ロリータ一家はロリータの歌の教師シルヴィアと彼女の夫で売れない作家のピエールを別荘に招待し、楽しい週末を送ることにするのだが・・・。

みどころはやっぱり強烈な個性の持ち主であるロリータの言動の一つ一つ。父の才能、継母の美貌、自分の体型といろいろなコンプレックスを持ち、常に不機嫌で卑屈で自己中心的、せっかくの褒め言葉も素直に受け取れず、神経質で思い込みの激しい彼女。人間不信な彼女の言動を見ていると「そんなにこの世は酷いところなの?」と思わず小一時間問(ry。いくら興味を持ってくれる男性がいても、終始こんな調子じゃぁ振られますよ。絶対。ただし、そんなロリータが本当に欲していたものが「私を見て欲しい」というごく自然で他愛の無いものなだけに、なんだか憎めないんですよね。そんな中セバスチアンがロリータに言った「疲れる子だ」っていうセリフ。優しさに溢れていてとても印象的でした。

ロリータ同様、この作品で重要な役割を担うシルヴィア。彼女の場合、ロリータとの出会いがきっかけで夫婦関係に微妙なズレが生じていくわけですが、その様子があまりにも見事でなんだか居心地悪かったです。不機嫌の連鎖とでも言いましょうか。父から発せられた不機嫌の連鎖がロリータや妻カリーヌ、そしてシルヴィアの夫ピエールへと波及していき、みんなをそして自身をも巻き込んでいく。そしてその不機嫌さは人に伝わる際に徐々に大きさを増していく。一度悪い方向に動き出した連鎖の波はどんどん人々を巻き込み人間関係を悪化させていきます。どうです?心あたりありませんか?そんな連鎖のワナに引っかからなかったセバスチアンとシルヴィア、そしてセバスチアンの優しさに助けられたロリータを見習って、不機嫌の連鎖に巻き込まれないよう十分注意しようとこの作品を観て改めて思いました。不機嫌さは伝染するんですよ!ご注意くださいね。
*****作品データ*****
みんな誰かの愛しい人 - COMME UNE IMAGE(2004年/フランス)
監督:アニエス・ジャウィ
出演:マリルー・ベリ、ジャン=ピエール・バクリ、アニエス・ジャウィ、カイン・ボーヒーザ、ロラン・グレヴィル
公式サイト:http://www.gaga.ne.jp/dare-ai/
  →この作品をAMAZONで確認
posted by クマ at 14:32 | Comment(6) | TrackBack(3) | ★★★★☆



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この記事へのコメント
TBありがとうございます。
クマさんの《不機嫌の連鎖反応》という視点、とっても面白かったです。
>そんな中セバスチアンがロリータに言った「疲れる子だ」っていうセリフ。優しさに溢れていてとても印象的でした。
このセリフ良かったですね〜。
ラストで、ロリータが自分のことを思ってくれている人の存在に気付くことができて良かったと安心すると共に、自分自身ももっと身近な周りの人を大切にしなければと、考えさせられるような映画でした。
ところでわたしのTB、文字化けしてしまったようです。
どうしたら良いのか判らないのですが、クリックしてみたら記事はどうにか読めるようです。
時間を置いてもう一度試してみますが、ご不快のようでしたら、ご遠慮なく消してくださいね。
Posted by 楽蜻庵 at 2006年03月14日 10:07
楽蜻庵さん、こんにちは!
ほんとセバスチアン最後の一言、いいですよね。あの一言で救われました。
私もこの作品観てからというもの、なるべく自分の不機嫌は自分の中で処理するよう心がけるようになりました。連鎖の一部にはなりたくないですからね(笑)。

TBの文字化けはコチラでチョイチョイっと修正しときました♪
お気になさらないでくださいね。
これからもTBお待ちしておりますので、どうぞよろしく!
Posted by クマ at 2006年03月14日 11:19
こんにちわ☆
私もクマさんの不機嫌の連鎖反応はなるほどーと思いました。
そう考えると深いですー。
新しい観かたができました。
他の方の感想ってためになって大好きです。
ありがとうございますっ☆☆☆
Posted by run at 2006年03月14日 12:11
runさん こんにちは。
この作品では、どんどん数珠繋ぎのごとく不機嫌さが伝染していくんですよね。
その様子を見ていると、歯痒くってしょうがなかったです。
『不機嫌の連鎖』についてはその雰囲気が少しでもうまく伝わればいいなぁ〜って思って使ってみたんですが、うまく伝わっているみたいでとても嬉しいです♪
Posted by クマ at 2006年03月15日 16:48
クマさん、こんにちわ。
コメントどうもありがとうございます♪
..一度悪い方向に動き出した連鎖が膨らんでいくって本当ですよね。。
..役者さんたちが、みんな人間味があって、すごく共感かんじますよね..

これからもブログ参考にさせてくださいね!
Posted by ハル at 2006年03月17日 17:49
ハルさん こんにちは!
この作品、なかなか難しい問題を上手く表現してたなぁって思います。役者さん達も皆さん良かったし。

こちらこそどうぞよろしくお願いしますね♪
Posted by クマ at 2006年03月22日 16:40
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