2010/05/26

『インランド・エンパイア』

インランド・エンパイア」 ★★★★☆
Inland Empire (2006年/アメリカ・ポーランド・スイス)
監督:デヴィッド・リンチ
出演:ローラ・ダーン、ジェレミー・アイアンズ
   ハリー・ディーン・スタントン、ジャスティン・セロー
公式サイト:http://www.inlandempire.jp/

久々のデヴィッド・リンチはやっぱり凄かった。全く訳がわかりません(笑

作品紹介は「いわく付き映画のリメイク作品に出演した女優が、次第に虚構と現実の区別がつかなくなり、奇妙な世界に紛れ込んでいく」というようなサラリとした内容。が、実際に作品を見た人間からすると「そんな単純な内容じゃないよー!」というのが正直な感想。もちろん、監督がデヴィッド・リンチっだってわかって見ている訳だからちょっとやそっとのことじゃぁ驚きはしませんが、それでもこの作品に関しては、こちらの予想を遥かに超えた作品だったとしか言いようがないです。しかも3時間と長い長い(笑)。

そもそも序盤から複数の世界と視点が入り乱れ、1時間を過ぎる頃にはすでに大混乱。さらにもともと人の顔を覚えるのが苦手ということもあり、時間を追う毎に登場人物の相関関係もよく分からなくなるという混乱ぶり。こんな状態で、よくまぁ3時間も観ていられたなと我ながら思うのですが、それがデヴィッド・リンチ作品の魅力なのかもしれないですね。良く判らないなりにも“何か”に引きつけられていて、一度始めたらやめられない止まらない、といった感じでしょうか(笑)。

とりあえず、1度目(2度目があるか分かりませんが)の鑑賞は、良く判らないけど面白かった(ような気がする)という感想です。謎解きはさておき、あの独特のトリップ感は他の作品ではなかなか味わえるものではないですし、なによりこの「ワケ分からん」感が非常に癖になるのですよ。なんていうか、弄ばれるのもある一線を超えると快感に変わるって感じ?(誤解を招きそうだけど)。完全にマニアの世界なので、一般人には全くオススメできませんが(苦笑)。

とはいえ、全く理解できないっていうのもそれはそれでやはり悔しいので、なんとなくこんな感じかな?とがんばって分析してみました。私なりの解釈はというと、ニッキーが未完成の映画を完成させることで、泣きながらTVを見るロスト・ガール(オリジナル映画「47」の主演女優で、撮影途中に殺された)の無念が晴らされ、無事成仏できた、といった感じかなーと。ただし今の段階では、ロスト・ガールの無念の対象が映画なのか何なのかは判断付かないし、突然踊りだす売春婦たちやうさぎ一家の正体なんかも良くわかりません。しかし、ハッピーエンドっぽいエンディングを見る限りでは、彼女らを取り巻いていたオドロオドロしい影は消え去ったようだし、途中の降霊会のような儀式なんかからも何かしら霊的なものが関わっていたんだろうなと判断できるところから、単純にそういう分析をしてみました(主観的意見&ネタバレなので反転して自粛。読みたい方はドラッグしてどうぞ。)。でもホントの所、正直言って良くわかりませんけどね(笑)。

とまあストーリーの分析はさておき、全体的な印象を少し。作品の中で印象的だったのは、やはりニッキーを演じたローラ・ダーン。この作品での彼女の演技からは女優魂(というものがあるかどうかは不明ですが)というものを感じずにはいられませんでした。もの凄い気迫です。この作品やたらと人物のアップが多いのですが、中でも群を抜いてニッキーのアップが多いです。しかも時間と共に艶やかさは失せ悲壮感は増し、加速度的に人格崩壊していく彼女の歪んだ表情が繰り返しフォーカスされます。その様子はまさにホラー。彼女の表情だけでも十分怖いです。

余談ですが、この作品でのローラ・ダーンを観て、以前見たハリウッド女優34人のインタビューからなる『デブラ・ウィンガーを探して』という作品をふと思い出しました。ちなみにこの作品では「ある年齢を超えるとパッタリと仕事のオファーが来なくなる」みたいな内容が語られていて、若さという最大の武器を失った女優たちのリアルな本音を垣間見ることができます(熟年男性は引っ張りだこなのに、熟年女性には役がないなんて解せない、というような議論だったと思う)。ローラ・ダーンも例外ではなくて、実力も意欲もあるのに年齢のせいでオファーが少ない、といった話題で盛り上がっていたような記憶があるのですが、この作品での彼女の怪演を目の当たりにすると、確かに若いだけの女優とは演技の幅が違うよなと思ってしまいました。以上、余談終わり。

まぁそれくらいローラ・ダーンの演技は凄みがあったのですが、実はそれ以上に怖かったのが、冒頭ニッキーの家に訪ねてくる引越しおばさんの存在。ギョロギョロとした目と妙にひん曲がった口。不気味な表情でねっとりした会話を繰り広げるのですが、それが画面いっぱいに映し出されるんだからタマラナイです。あぁーのっけから嫌なものみちゃったよーって感じ。

amazonなんかでも評価が分かれているし、そもそもリンチ作品自体好き嫌いが分かれますんで、リンチ作品が嫌いじゃなくて時間がたっぷりあって、心に余裕のある方は試してみるのもいいかもしれません。あえてオススメはしませんけど。

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posted by クマ at 09:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ★★★★★



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