2010/10/20

『疑惑』

疑惑」 ★★★★★
疑惑 (1982年/日本)
監督:野村芳太郎
脚本:松本清張
出演:桃井かおり、岩下志麻、柄本明、鹿賀丈史

保険金殺人の容疑者と彼女を弁護する女性弁護士の姿を描いたサスペンス作品。車の転落事故で夫を亡くした夫人が、その後発覚した多額の保険金の存在によって殺人容疑をかけられる。メディアの煽りもあり、誰もが有罪確実と確信する中、ある女性弁護士が弁護を引き受けるのだが…といった内容。1982年とかなり古い作品なのですが、私の記憶の中でも強烈な印象を放つ作品の一つ。何年かぶりに再見してみたのですが、やっぱり凄かった!松本清張作品の中でも(個人的には)一二を争う作品だと思いますので、未見の方は是非ご覧になってみてください。超オススメ!

見どころは何といっても主役の女性二人の演技。どこから見ても有罪間違いなしの、悪女を絵にかいたような未亡人役を演じる桃井かおりと、冷静・冷徹・冷血な辣腕女性弁護士役を演じる岩下志摩。この二人の対比が見事!特に桃井かおりの気だるそうな雰囲気とふてぶてしい態度、そして歯に衣着せぬ辛辣な台詞。本能のまま自由奔放に生きる彼女の姿は観た人全てに強烈な印象を残すこと必至です(しかも名前も「鬼塚球磨(くま)子」!「鬼クマ」ですからねw)。中でも痛烈なのが、記者会見の席で失礼な質問を投げかけた記者役の柄本明相手に「近いのよ、ちょっと下がって」と言ってやり込めるシーン。なんかもう、素でやってんじゃないの?っていうくらいのハマりっぷり。

法廷劇といえば、証言の裏をかいたり隙をついたりと、あの手この手で揺さぶりをかけ、幾多の駆け引きの末に無罪を勝ち取る工程を楽しむのが本筋ですが、この作品は「鬼クマ」という独特な存在によって、通常の法廷劇とはまたひと味違った趣が楽しめるのも面白さのひとつ。被告人といえば、裁判の最後に行われる被告人質問以外、ほとんど発言する場はないんですが、鬼クマの場合は事実ではない(と彼女が主張する)ことや気に入らないことがあるたびに、制止する裁判官も弁護士もルールも全て無視し、証人に食ってかかったり、悪態をついたりとやりたい放題。その予想外の言動にあわてる周囲の人たちと、彼女と証人との本音でのやり取りが非常に面白いです。またその後、彼女のとった行動の影響範囲を岩下志摩が淡々と説明するのですが、説明調になりすぎず、かつ裁判という特殊な世界でのルールを的確に観客に伝えるという点では非常に上手い演出だと思います。

そして何といっても最後のクラブでの二人のやり取り。あの気だるそうな口調でくだくだと管を巻きながら、岩下志摩の純白のスーツに赤ワインをかける桃井かおりに対し、無表情のまま桃井かおりの顔にグラスのワインをぶっかける岩下志麻のクールな眼差し。そして「またしくじったら弁護してあげるわよ」「頼むわ」という最後の台詞の掛け合い。水と油のように決して混じり合うことはない二人ではあっても、唯一本音でぶつかり合える相手として、お互いに認め合っているような、そんな奇妙な関係が上手く描かれてたと思います。

ブログランキング参加中デス。映画選びの参考になりましたらClickお願いします♪→



posted by クマ at 13:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ★★★★★



前後の記事へリンク
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのTrackBack URL