本日の映画は『サマリア』。援助交際を行う二人の女子高生ヨジンとチェヨン、そしてヨジンの父親刑事のヨンギ。ある日チェヨンがホテルの窓から飛び降り他界してしまったことがきっかけで自分もまた見知らぬ男と関係を持つようになっていくヨジン姿と、娘の行動を知り次第にバランスを失っていく父親の姿を静かに描いた作品。チェヨンとヨジンの物語である「バスミルダ」、チョヨンへのヨジンの償いの日々を綴った「サマリア」、そしてヨジンを思う父ヨンギの苦悩を描いた「ソナタ」の三部構成。2004年にベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した作品です。説明がかったセリフは全く無く、画面から伝わる内容以外登場人物の深層心理をうかがい知る手がかりはありません。そういった演出が功を奏してか、援助交際を扱った作品の割にはとても静かで透明感のある作品に仕上がっていたと思います。そのためかこの作品で起こる全ての出来事がとても現実感に乏しく感じてしまいました。夢うつつというか、幻想的というか、なんだか地に脚が付いていないようなそんな感覚を覚えました。
全編通して感じたことは全ての行動があまりにも軽軽すぎるということ。窓から飛び降りるチェヨンの行動も、彼女へのせめてもの償いとチェヨンを買った男達に抱かれお金を返そうとするヨジンの行動も、そしてそんなヨジンを守ろうと男たちに復讐し続ける父親も、条件反射とまでは行かないもののなんだかとても軽く見えてしまうところは残念でした。特に父親の行動には疑問を感じずにはいられませんでしたね。復讐よりもまずは教育だろう、と。娘を守りたい気持ちやできるならば娘の秘密を知ってしまった事実を当人に悟られたくないという心情は良くわかるのですが、その結論があれでは親としてだけでなく人間としてもどうなのか、と。
ーとはいうもののこの作品の雰囲気や演出は決して嫌いな方ではないです。ところどころに見え隠れするヒントを元にあれこれと想像をめぐらせてみるとそこには喪失感だったり罪悪感だったり思いやりだったりといろんな感情が見えて来るところも面白いと思います。それまでの流れに反してラストシーンが多少親切すぎる(というか多少安直すぎ?)演出なのが少々興ざめではあったものの、全体的にはなかなか考えさせられる内容でした。
*****作品データ*****
サマリア - SAMARITAN GIRL/SAMARIA(2004年/韓国)
監督:キム・ギドク
出演:クァク・チミン、ソ・ミンジョン、イ・オル
公式サイト:http://www.samaria.jp/
→この作品をAMAZONで確認



