本日の映画は『彼女を見ればわかること』。6人の女性が時に笑い時に悩みながら自分の人生を一生懸命生きる姿を描いた作品。登場人物は男性からの電話をひたすら待ち続ける産科医のエレイン、不倫相手の子供を身ごもってしまう銀行の支店長レベッカ、隣に越してきた男性が気になってしょうがないシングルマザーのローズ、余命わずかな恋人と静かな時を過ごす占い師クリスティーン、少女に点字を教え彼女の父親とデートを重ねる盲目のキャロル、そしてキャロルの姉で刑事のキャシー。5つのオムニバス形式で構成されているもののそれぞれのストーリーが互いに少しずつ重なりあうような内容となっています。派手さはありませんがとても堅実でいろいろなことを考えさせられる作品でした。この作品の第一印象はなんといっても女性特有の繊細な心の襞がとても丁寧に描かれているということ。登場する女性は誰もがリアリティに溢れていてとても瑞々しく、その存在に親近感を覚えずにはいられません。男性の監督が撮ったとは思えないほど女性というものが深くそして愛情豊かに真摯に描かれています。
全編通して流れているのは「他人の目には幸せに映っているけれど実は誰もが満たされない何かを抱えている」っていうなんとも寂しげな雰囲気。欠けている何かとは愛や心の平穏、信頼や共感といったような目に見えない手に取ることさえ出来ない形の無いものだったりするわけで、単純に服が欲しいとか靴が欲しいとかいうお金で解決できるような解りやすい欲求でないだけにタチが悪いというかなんと言うか。でも、女性って良くも悪くもこんな感じなんだよね。物質よりも精神的な何かを求めるのは万国共通ってことでしょうか。
どのシーンもとても素晴らしく甲乙つけがたいのですが、敢えてあげるとしたらレベッカと彼女に付き纏うホームレスの女性との会話と作品終盤のキャロルの独白シーンが印象深かったですね。ホームレス女性の戯言とも真理とも取れるようなセリフと黙って耳を傾けるレベッカ。レベッカ自身は多くは語らないものの、強く賢い彼女だからこそ通りを一人歩く彼女の姿がとても印象に残っています。そしてキャロルの独白信。これは彼女のセリフが全てであって、もう付け足すことは何もありません。
幸せか不幸せかと聞かれたら幸せと答えるかもしれないけど、世の多くの女性達は人知れず孤独な闇を持っているってことなのかも知れませんね。男性の方がこの作品を見た場合、どんな意見を持つのかとても気になるところです。
*****作品データ*****この作品はどう考えても男性向けというよりは女性向けの作品ですよね。そして女性のための映画といえば真っ先に思いつくのがペドロ・アルモドバル監督の『オール・アバウト・マイ・マザー』なわけですが、同じように孤独な女性を扱っている割にはとても力強く前向きな作品に仕上がってます。この作品で憂鬱な気分になってしまった方、なんとなくスッキリしないよ!っていう方は、コチラの作品も試してみてください。
彼女を見ればわかること - THINGS YOU CAN TELL JUST BY LOOKING AT HER(1999年/アメリカ)
監督:ロドリゴ・ガルシア
主演:グレン・クローズ、ホリー・ハンター、キャシー・ベイカー、キャリスタ・フロックハート、キャメロン・ディアス、エイミー・ブレネマン
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