2011/02/10

『沈まぬ太陽』

沈まぬ太陽」 ★★★★☆
沈まぬ太陽 (2009年/日本)
監督:若松節朗
原作:山崎豊子 『沈まぬ太陽』
出演:渡辺謙、三浦友和、松雪泰子、鈴木京香、石坂浩二
   香川照之、木村多江、宇津井健、小林稔侍、加藤剛
公式サイト:http://shizumanu-taiyo.jp/

山崎豊子の同名ベストセラー小説を映画化した作品。3時間超という長さはさすがにしんどかったけど、素直に観てよかったと思います。原作は既読。とはいえ、先に原作を読んでしまった作品特有の違和感というのがあまり感じられない珍しい作品でした。この作品が映画化されると聞き、とうとうJALもここまで弱ってしまったか、とまっさきに感じたのは私だけではないはず。3年ほどまえに原作を読んだ時は「映画化は無理だろうな」というのが正直な感想でしたが、経営に行き詰まり最終的に破綻してしまったJALには、もう映画化を止める力すらなかったんだろうなとしみじみ感じました。顧客の安全を蔑ろにし、私利私欲に任せ会社を食い物にする経営陣の醜悪な姿が描かれるたび、体質的にはあまり変わっていないのかもしれないなぁと思わずにはいられません。

原作はアフリカ編・御巣鷹山編・会長室編の順に3部構成となっていますが、映画では御巣鷹山編から始まり、遺族の対応をしつつアフリカ編を回想という形で描き、会長室編へと進んでいきます。冒頭に墜落事故を持ってくることで、安全よりも利益を優先させる腐敗した体質がより強調され、巨大な権力に抗う孤独な主人公への共感が否が応にも増していきます。どこまでも実直で不正を嫌い信念を曲げようとしない主人公恩地。彼のその一貫した頑なな態度には畏敬の念さえ感じるのですが、それと同時に彼のその不器用さには苛立ちを感じることも事実。見ていて何とも複雑な気分にさせられます。

印象的だったのは恩地の二人の子供の成長ぶり。繰り返し描かれる恩地の不遇や事故で家族を失った遺族の悲しみなど、心に突き刺さるシーンはたくさんあったけど、気の沈むようなエピソードが多い中、たくましく成長を遂げ、父の身を慮る気遣いを見せる二人の子どもの存在にはとても助けられたような気分です。海外赴任に同行させられ慣れない土地に苦労し、日本に帰ればいわれない誹謗中傷に傷つき、事あるごとに父親の過去に偏見を持つ人々と対峙させられた彼らの苦悩は計り知れないものがあります。にも関わらず、成長した子供たちからは見た目や肩書きに惑わされず、物事の本質そのものを問いながら生きていく力強さを感じられました。これはとても希望のある展開だと思うのです。企業の体質は変えられないかもしれないけれど、身を持って何が大切なのかということを子供に伝えることが出来たのは、唯一の救いだったのではないかと思います。

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posted by クマ at 10:52 | Comment(0) | TrackBack(1) | ★★★★☆



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『沈まぬ太陽』/(TV地上波)
Excerpt:      □作品オフィシャルサイト 「沈まぬ太陽」□監督 若松節朗 □原作 山崎豊子 □脚本 西岡琢也 □キャスト 渡辺 謙、三浦友和、松雪泰..
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