2006/06/01

『セックスと嘘とビデオテープ』

スティーヴン・ソダーバーグの監督デビュー作にして第42回カンヌ映画祭のパルムドール受賞作品。それぞれの胸に嘘を秘めながら理想的なカップルとして日常を送る夫婦。しかし夫の旧友の出現によってそのバランスが崩れはじめ、次第に隠された本来の自分が浮き彫りになり、過去のそして現在のしがらみから解放されていく姿を描いた作品。俗っぽいタイトルとは裏腹にかなり真面目で高尚な作品です。とても静かで冷たくてひんやりとした印象の作品でした。主演はジェームズ・スペイダーとアンディ・マクダウェル。この二人の物憂げな表情が印象的。

この作品ではビデオという触媒を使ってセックスと嘘という人類にとってとても興味深い2大テーマを浮き彫りにしています。ドキュメンタリー作品のようなリアリティに溢れていて、決して多くを語っているわけではないんだけど作品の持つメッセージがダイレクトに胸に響いてくるような、そんな作品でしたね。ストーリーは非常にシンプルなのですが、ストーリーとは別のところで何か引っかかるものがあるんです、この作品。観終わった後もなぜかスッキリしないというか、小さな棘が頭の隅に引っかかっているみたいな感覚に襲われるんですよね。しかも原因が良くわからない。

ちなみに私がこの作品を観ていて一番気になったことはというと、作品との間に常に一定の距離を感じるってところ。鑑賞中、登場人物に感情移入することなくある種醒めた目で作品を観ている自分を感じました。今思えば、それはもしかしたらグラハムがビデオ越しに女性を見つめる時の心境に近いのかもしれませんね。いずれにせよ、話す相手が人間ではなくカメラだからこそ、自分の本音を包み隠さず告白できるっていう心境、なんとなく解るような気がします。きっとセラピストと話している感覚に限りなく近いんじゃないかな?いや、むしろそれよりも話しやすいかも…なんて思ってみたり。ま、こういった文化になじみの低い日本ではまず受け入れられないとは思いますが(笑)。

最後に、ベッドルームで夫の不貞に気がついた時のアンディ・マクダウェルの演技がもの凄く良かったことを付け加えておきます。絶叫したり号泣したり罵倒したりしないあたりに妙なリアリティを感じました。

個人的には何年(何ヶ月?)か後に、またきっと観たくなるだろうなって予感がする作品です。DVD買おうかな。
*****作品データ*****
セックスと嘘とビデオテープ - SEX, LIES AND VIDEOTAPE(1989年/アメリカ)
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:アンディ・マクダウェル、ジェームズ・スペイダー、ピーター・ギャラガー、ローラ・サン・ジャコモ
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実はこの作品、レンタル開始直後そのショッキングなタイトルに惹かれ鑑賞したことがあったのですが、さすがに15年前の私にこんな人間の本質をテーマにした内容が理解できるわけも無く、ただただ頭の中を?が飛び交ったということだけ記憶しています。ま、15年経った今、全てが理解できているのかって聞かれたらそれもちょっとどうかと思いますが…。しかし、どんだけ早熟なのよ>私(笑)。

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posted by クマ at 15:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | ★★★★☆



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