2006/06/18

『運命を分けたザイル』

南米アンデスの雪山シウラ・グランデ峰。絶体絶命の状況から奇跡的に生還を遂げた二人の登山家の想像を超える脱出劇を現在の二人の映像を交えて再現したドキュメンタリー作品。

1985年に実際に起きた事件を元に制作された作品とのこと。一般的に山男と呼ばれる山の持つ魅力に取り付かれた男達が繰り広げる壮絶な脱出劇を描いた作品です。「そこに山があるから」という理由だけで山に登り続けるという彼ら山男の気持ちは正直よく解らないけれど、この作品に映し出される雪山の人を寄せ付けないような厳しさ、そして神々しいほどの美しさを目にすると、なぜ彼らがそれほどまでに山に憧れ、執着するのかが少しだけわかったような気がします。でもやっぱり登りたいとは思わないけど(笑)

雪山の脱出劇と聞いてまず真っ先に浮かんだのが雪山で遭難した二人が力をあわせ奇跡的に生還を果たすといった感動ストーリー。しかしこの作品に描かれていたストーリーはそんな生易しいものではありませんでした。あまりにも過酷で絶望的。まさに奇跡でも起きない限りは生きて下山することは不可能と思われる、そんな悲惨な状況の連続です。

中でも印象的だったのが一人クレバスに取り残されてしまったジョーのモチベーションの保ちかた。孤独と餓えそして絶望に打ちのめされながらも、下山するという最終目標に焦点をあわせるのではなく自分が立てた目の前の実現可能な目標だけに集中し、襲い掛かる不安や絶望感を払いのけながら着実に最終目標へと近づいていくんです。この手法は自体はビジネス書などでもよく取り上げられているのでさほど珍しいものではないのですが、こういった生きるか死ぬかの瀬戸際において実際に使われたと聞いて驚くとともにその有効性に改めて気付かされました。

そしてもう一つ印象的だったのが発狂寸前の彼の頭の中で音楽が流れ始めるシーン。狂う瞬間ってきっとこんな感じなんだろうなって思ってしまうくらい現実味があって思わず鳥肌が立ってしまいました。グラグラゆれる視界といい、壊れたレコードのように繰り返す能天気な音楽とい、まさに正気と狂気の狭間って感じで思い出しただけでもゾッとしますね。

そしてやはり最後に流れるテロップも印象的。彼が今現在も山に上り続けているという事実を嬉しく思うとともに、パートナーであるサイモンをかばい続けているという事実に深く感動させられました。今後も彼らの信頼関係が変わらずに存在し続けることを期待せずにはいられません。
*****作品データ*****
運命を分けたザイル - TOUCHING THE VOID(2003年/イギリス)
監督:ケヴィン・マクドナルド
原作:ジョー・シンプソン 『死のクレバス―アンデス氷壁の遭難
出演:ジョー・シンプソン、サイモン・イェーツ、ブレンダン・マッキー、ニコラス・アーロン
   リチャード・ホーキング、オーリー・ライアル
公式サイト:http://unmei-zairu.com/
  →この作品をAMAZONで確認

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posted by クマ at 15:54 | Comment(0) | TrackBack(1) | ★★★☆☆



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Excerpt: なぜ山に登るのか? ・・・そこに山があるからだ! アタシにはわからん! なぜ、こんなにしてまで山に登るのか! 1985年 ペルー 前人未到の山へ向う英国人クライマーの二人。 ..
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Tracked: 2006-06-18 17:36