2006/06/23

『砂と霧の家』

海辺に立つ一軒の家。家主のキャシーは些細な手違いから家を取り上げられ競売にかけられてしまう。何とか取り戻そうと弁護士を雇ってはみたもののすでにイランから移民してきたベラーニ一家によって落札されてしまっており、弁護士の買戻し提案にも応じる予定は無いと一蹴されてしまうのだが…。

海辺に立つ一軒の家を巡り運命に翻弄される移民家族と元の家主の姿を描いた作品。ささやかな幸せを必死で守ろうとする善良な人間が、ちょっとした運命の悪戯によって破滅へと突き進んでいく姿はまったく悲劇的としか言いようがないですね。さらに主人公キャシーを演じるジェニファー・コネリーの陰鬱で幸薄そうな雰囲気といい、ベラーニ演じるベン・キングズレーの厳格で信心深そうな雰囲気といいあまりにも俳優と演じるキャラクタの雰囲気がシンクロしすぎて観終わった後にはどっと疲れを感じてしまいました。

この作品のなにが哀しいって、登場する人物の誰一人として悪意を持って行動している人がいないってところがとても哀しいんですよね。ベラーニ一家がもう少し冷静にキャシーの話を聞いていたら…、もしくはキャシーが政府あるいは弁護士にもっと積極的に働きかけていたら…。そしてお互いにもう少し歩み寄りを見せていたらもしかしたら最悪の結末は避けられたかも知れないのにと考えずにはいられませんでした。

この作品で一番印象的だったのは人間が家というものに抱く特別な執着心。海辺に立つ家はキャシーにとっては美しく幸せだった幼少時代の象徴であり、またベラーニにとっては二度と戻れない故郷への思いであり家族への贖罪そのものだったのではないかと思います。だからこそ心の平穏のため、そして幸せな未来のためには海辺のあの家でなければいけなかったんだろうなって思うし、他の同じような家で代用したり、対価をもらって終了っていうわけにはいかないんですよね。こういった個々の思いは司法では汲み取ってもらえないわけで、そのあたりにもまたやり切れなさを感じてしまいます。

とまぁキャシーとベラーニ一家の気持ちはとてもよく解るし共感も出来るのですが、唯一共感できなかったのがあの保安官助手の身勝手さ。いくら惚れてしまったからとはいえ、あの行動はちょっと暴走しすぎなんじゃないかなぁって思います。意図的でないにしろ、キャシーの危うさがこういう男を引き寄せてしまうっていうのは解らなくもないのですが、個人的には彼女が彼を止めようとしないのも納得いかなかったです。仮に彼の計画が上手くいったとしても幸せにはなれそうもないのに、それに気がつかないっていうのもなんだかなぁ。その辺も含め遣り切れなさの残る悲劇的な作品だったなぁって思います。
*****作品データ*****
砂と霧の家 - HOUSE OF SAND AND FOG(2003年/アメリカ)
監督:ヴァディム・パールマン
原作:アンドレ・デビュース三世
出演:ジェニファー・コネリー、、ベン・キングズレー、ロン・エルダード、ショーレ・アグダシュルー
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posted by クマ at 19:13 | Comment(0) | TrackBack(1) | ★★★☆☆



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砂と霧の家
Excerpt: オススメ度 ★★★★★ あらすじを読まなかったので、退屈なオトナの恋愛映画かな・・・と思っていた、でもアカデミー賞3部門ノミネートしてるし、タイトルもなんか意味深で惹かれるものが・・・と半分期待..
Weblog: 映画感想BLOG 瞼のスクリーン
Tracked: 2006-06-27 05:07
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