2006/08/16

『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』

別居した妻マリーと3人の子供との関係を修復するため、なれないサラリーマンとして働き始めたサム。しかし生真面目で繊細な彼は上司や仲間のような詐欺師まがいのようなセールスに馴染めずにいた。そんな矢先、サムは修理工場で働く親友ボニーとともに事業を立ち上げることを思いつくが…。

善人の起す凶悪事件というのは見る側になんともいえない後味の悪さを与えるものだけど、この作品の後味の悪さもかなりきてましたね。1974年にバルチモア国際空港で実際に起きたハイジャック未遂事件を基に作られた作品とのこと。世に渦巻く欺瞞や偏見、そして孤独に耐えかねた一人の男が、ホワイトハウスに飛行機を撃墜させることで世の中を変えようと決意し実行するまでの姿を描いた作品です。繊細さゆえに思うように生きられず、苦悩し、次第に追い詰められていく不器用な男の姿はとても印象的。現在の弱肉強食型資本主義のあり方そのものについても深く考えさせらる作品です。

そもそもこの作品の主人公であるサム・ビックという男性はどうにもこうにも融通が利かなくて見ていてかなりイライラします。どこまでも理想を追い求め妥協を許さないその姿は純粋といえば聞こえは良いけれど、守るべき妻や家族がありながら現実を省みずごね続ける彼の姿からは純粋というよりむしろ幼稚といった印象を受けました。理想だけでは腹は膨れないってこと、そして理想を追い求めればそこにはなにかしらの犠牲がつきまとうということ、そういった厳しい現実には最後まで目を向けてくれなかったところが非常に残念でしたね。そういった意味では現実に生きる黒人整備工ボニーとの対比もとても印象的でした。

それにしてもショーン・ペンはなにやらせても上手いですねぇ。一つまた一つと社会と彼とを繋ぐ絆が途切れていき、希望を失い、次第に追いつめられていくサムの姿は鳥肌ものです。特にラストの空港のシーンなんかはあまりにもリアル過ぎて見ているこっちまでクラクラしてきます。ショーン・ペン、凄すぎ(笑)。
*****作品データ*****
リチャード・ニクソン暗殺を企てた男
 - THE ASSASSINATION OF RICHARD NIXON (2004年/アメリカ)
監督:ニルス・ミュラー
出演:ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ドン・チードル、ジャック・トンプソン、マイケル・ウィンコット
公式サイト:http://www.wisepolicy.com/the_assassination_of_richard_nixon/
  →この作品をAMAZONで確認
posted by クマ at 08:10 | Comment(2) | TrackBack(1) | ★★★★☆



前後の記事へリンク
この記事へのコメント
 クマさん、こんにちは。
 この映画、ポスターのショーン・ペンが例の「いまにもプツッと来そうな顔」をしていたので気になっていたんです。脇も豪華なんですね〜。整備工がドン・チードルなのでしょうか?
 楽しい気分になれる映画ではなさそうですけれど、ぜひ観てみたいと思います。
Posted by マオ at 2006年08月17日 10:52
マオさん こんにちは。
わたしもポスター見たときから気になってたんですよね、この作品。
第一印象ではもっと凶暴な感じのキャラクターなのかと思っていたので、正義感に溢れ繊細で融通の利かない実際のキャラクターに驚かされたというのが正直なところです。
徐々に追いつめられていく部分はかなり見応えありますよ!
Posted by クマ at 2006年08月21日 08:15
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのTrackBack URL
http://blog.seesaa.jp/tb/22402458

『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』
Excerpt: リチャード・ニクソン暗殺を企てた男posted with amazlet on 06.08.10ポニーキャニオン (2006/01/27)Amazon.co.jp で詳細を見る  1974年2/22..
Weblog: cinema days 『映画な日々』
Tracked: 2006-08-17 01:24