2005/02/18

『自転車泥棒』

本日の映画は『自転車泥棒』。前回見た『カサブランカ』に触発されて無性にモノクロ映画が見たいなぁ〜と思っていた矢先、たまたまBSでやってたのがこの映画。当初の予想とは程遠い内容に鑑賞後もしばし呆然。一言で言えば、“非常に感想が述べにくい作品”とでもいいましょうか。面白いとか面白くないとか、作品の良し悪しとか、そういった次元では語れないような作品です。いままで見た映画の中でも1、2を争うくらい衝撃的な作品でした。

第二次世界大戦敗戦後のイタリア。無職の男がようやくありついた仕事には自転車が必要だった。食べるために一時は質に入れた自転車を、妻の嫁入り道具でもある家中のシーツを質に入れたお金で取り戻す。これで職にありつけお金も手に入り辛い生活ともお別れできると幸せに満ちた気持ちで迎えた出勤初日、運悪く仕事中に大事な自転車を泥棒に盗まれてしまう。途方にくれた主人公は息子と共に自転車を探して町中を歩き回る、というお話。

作品のほとんどが自転車を探す親子のシーンというとてもとても不思議な作品。必要最低限しかないセリフとは裏腹に、主人公の心に湧き上がる失望、困惑、怒り、不安、悲哀、疑心、落胆といった人間の感情の起伏が丁寧に描かれています。さらに驚くべきは、全てのシーンに徹底したリアリズムを感じるところ。まさに人生のごとく甘えというものが一切ない作品。それゆえ『感想は?』と聞かれても言葉に詰まってしまいます。もうこれは作品を見て感じてもらうしかないかと。

作品中、息子ブルーノは父の後をひたすら一生懸命ついていくのですが、親と子の間にはいつも一定の距離が存在しています。親といえば片時も子のそばを離れるべきではないし、さらに人ごみの中であれば見失わないように最新の注意を払うべきだと思うのですが、息子を待つことはおろか振り帰ることもしない父親の姿がとても印象的。

人生に翻弄される親と子。そして哀しい結末。鑑賞後やや遣り切れなさが残る作品ではありますが、ラストシーンは必見。機会がありましたら是非ご覧下さい。
posted by クマ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ★★★☆☆



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