2006/09/22

雨月物語

戦乱の世、陶器の商売で成功を目論む源十郎は妻と子を残し、侍として立身出世を夢見る弟の藤兵衛を連れ町へと向かう。しかしそこで若狭姫となのる一人の女性に出会い、その妖艶な美しさにすっかり魅了されてしまった源十郎は全てをなげうって姫君と生活をともにするようになるのだが…。

今年は溝口健二監督没後50年ということで、恵比寿ガーデンシネマ東京国立近代美術館 フィルムセンターなどでは記念イベントが開催され、過去の作品もぞくぞくとDVD化されているようです。私が溝口監督の存在を知ったのは去年の冬ぐらいだったかな?ちょうどその頃フランス映画にハマり始めてて、たまたま手にしていたヌーヴェル・バーグ関連の書籍にゴダール、トリュフォーらフランス映画監督達に多大な影響を与えた映画監督として名前が挙げられていたのを目にしたのが一番最初だったと思います。その後、一目見ようとレンタルショップをはしごしたものの運悪く一本も見つけられず、先日放送されていたNHK BS2の特集でやっと鑑賞に至ったというところです。というわけで私にとっては1年越しの願いがやっとかなったって感じ。あぁ、感無量。

『雨月物語』は溝口作品の代表作といわれている作品とのこと。私自身、溝口作品を見る時はこの作品から!と心に決めていたんですが、どうやらそれがあまり良くなかったみたい。確かにあちこちのレビューで絶賛されているように映像の美しさには目を見張るものがあったのですが、想像していたほどの衝撃は感じなかったっていうのが正直なところ。なんていうか“後から頭をガツンと殴られたような”衝撃を想像していたんですけどね。またもや期待しすぎちゃったのかしら…。ショボーン。

とはいえ1953年と今から50年以上も前に撮られた作品だというのに全く古臭さを感じさせないところはやっぱり凄いなって思います。多少画像が悪い部分もありますが、それでも十分我慢できる範囲でしたし、何より白と黒の色のコントラストが素晴らしかったと思います。特にあの霧の中を進む船のシーンや3人がススキ原を進んで行くシーンなんかはとても幻想的で美しかった。ホント印象的なシーンだと思います。

そしてなんといっても京マチ子!見事な麻呂眉にはさすがにビックリさせられましたが、その妖しげな雰囲気、能面のような冷たい表情、そして優雅な物腰、彼女の一挙手一投足に目が釘付けでした。妖艶という言葉をそのまま映像にしたら、きっとこんな感じになるんだろうな〜。この雰囲気、ちょっとクセになりそうですよね。
*****作品データ*****
雨月物語(1953年/日本)
監督:溝口健二
出演:京マチ子、水戸光子、田中絹代、森雅之、小沢栄太郎
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この作品、10/27に発売される『溝口健二 大映作品集Vol.1 1951-1954』というDVDボックスに収録される予定とのこと。DVD化を待ち望んでいた方が多い作品なだけに、心待ちにされている方も多いんじゃないかと思います。ちなみに同時収録されるのは「お遊さま」「祇園囃子」「山椒大夫」「噂の女」とのこと。特典もかなり豪華なので興味があってお金に余裕のある方は是非どうぞ!
posted by クマ at 17:44 | Comment(4) | TrackBack(3) | ★★★☆☆



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この記事へのコメント
こんにちはーTBさせて下さい。クマさんはこの作品ダメでしたか…。私はこの作品が溝口作品をはじめて観た作品だったのですが、リアルな状況描写はまるでその戦国時代に放り込まれたような感覚を味わって、ちょっとしたカルチャーショックを受けた作品でした。観た時が小学生で幼かったという事もあるんでしょうが…衝撃だったのですが…。大人になった今見ると、その当時の衝撃はさすがにないですがやっぱり好きな作品です。
Posted by ぶーすか at 2006年09月22日 19:04
ぶーすかさん こんにちは〜。
うーん、ダメってわけではないんですけどね。あまりにも期待しすぎてしまったようで…(苦笑)
でも溝口作品まだ一作目なんで、もしかしたらたまたまこの作品との相性が悪かったのかも、なんて思ってます(もしくは私のセンスが悪いのかもw)。とりあえず次いってみよう〜!って感じですね。
Posted by クマ at 2006年09月23日 11:47
こんにちは。
予定通り今年中に本作も見ることができました。
ヌーベルヴァーグは今シネマヴェーラで特集が組まれてますね。
そっちもちょいちょい行っております。
麻呂眉なんてコントじゃないか、どこが美しいのだと、
今まで思っていたわけですがこれがなかなかどうして、
あの妖しさたるや、源十郎が引き込まれるのも頷けました。
Posted by 現象 at 2006年12月29日 21:35
現象さん こんにちは。
お返事遅くなり申し訳ありません。

>あの妖しさたるや、源十郎が引き込まれるのも頷けました。
確かに独特の美しさがありますよね。
残念ながら作品との相性はあまり良くなかったんですが
京マチコの姿は今でも強烈に焼きついてます。
溝口作品、撮りだめしてあるんですがなかなか観れずもどかしいです。
他の溝口作品の感想も是非聞かせてくださいね。
Posted by クマ at 2007年01月05日 17:37
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