2006/11/27

『父親たちの星条旗』

太平洋戦争のさなか硫黄島を舞台に繰り広げられた激戦で撮影された一枚の写真。その写真がアメリカ国民の士気を盛り立て写真に写った兵士たちは英雄として祭り上げられていくのだが…。

本日の作品は『父親たちの星条旗』。ご存知クリント・イーストウッド監督の硫黄島2部作の第一作目です。劇場に足を運ぶのはかなり久しぶりだったのですが、予想以上に人が入ってなくて少し驚きました。なんとなく理由はわかるような気がしますけど(笑)。全体的な感想としてはちょっと期待しすぎたかなって感じ。史実としては非常に興味深いんだけど、映画としてはどうなんだろう…。面白いとか面白くないとか、そんな次元の作品じゃないねっていうのが正直なところでしょうか。もうこれはエンターテイメントとはいえないんじゃないか、そんな感じですね。

個人的には12/9から公開される2作目の『硫黄島からの手紙』の方に重きを置いていたのでこちらの作品は『硫黄島〜』を見るためのウォーミングアップ的な意味合いが強かったんですが、それでも見ておいて損は無かったなって思います。

ちなみにこの作品見てまず思ったのは他の作品とは決定的に監督の視点が違っているってところ。戦争映画って善と悪がはっきりと色分けされがちですが、そういったものが一切感じられなった点は私の中では非常に評価高いです。

第二次世界大戦、特に日本が関わっている戦いを題材にした作品を鑑賞するときってどうしても複雑な心境に陥ってしまいがちだと思うんですよ。戦争に加害者も被害者もないだろって頭ではわかっているんですが、やっぱり極端に残忍な描かれ方をすれば気分が悪いし、かといってヒーローのように祭り上げられるのもどうかと思うし。国と国とが争うわけだからどちらの視点で描かれるかによっては不愉快な気分になる人々が出てくるのは仕方ないし、最近では結局どんな描かれ方をしても納得できないんだろうなと自分の中では結論付けてますが、この作品では不思議と不満も憤りも感じなかったんですよね。こういう戦争映画っていうのもあるんだなぁってしみじみ考えさせられました。

歴史的事実といった観点では、アメリカ軍が5日で静圧できると思っていた戦いが実際には36日という長期にわたって繰り広げられたという事実にも驚きましたが、それよりなによりあの一枚の写真が発表されるまでは国内は敗戦ムードが濃かったというその1点に非常に驚かされました。イメージ戦略の有効さをまざまざと見せ付けられたって感じです。

とまぁ内容的にはそこそこ満足できたのですが、人物描写が少しお粗末だった点は残念だったかなぁと。主となる3人は勿論のこと、戦場で死んでいった他の兵士達の描き方が結構あっさりとした感じだったのはちょっと物足りなかったですね。とはいえ、時間的にはこれが精一杯なのかなとも思いますけれども。ちょっと心残りです。
*****作品データ*****
父親たちの星条旗 - FLAGS OF OUR FATHERS(2006年/アメリカ)
監督:クリント・イーストウッド
製作:スティーヴン・スピルバーグ、クリント・イーストウッド、ロバート・ロレンツ
原作:ジェームズ・ブラッドリー『父親たちの星条旗
出演:ライアン・フィリップ、ジェシー・ブラッドフォード、アダム・ビーチ、ジェイミー・ベル、バリー・ペッパー
   ポール・ウォーカー、ジョン・ベンジャミン・ヒッキー、ジョン・スラッテリー
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/
posted by クマ at 15:31 | Comment(4) | TrackBack(3) | ★★★☆☆



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この記事へのコメント
確かに、戦争と言う題材を(しかも日本が関わった)真っ向から見据えた映画は、ちょっと足取りが重くなりますね…。
どうも、イーストウッドの作品が肌に合わないらしく(『ミリオンダラー・ベイビー』とか…いい作品だとは思うんですが)、それもあって迷ってました。結局今回は、私は観ずに終わりそうです。
次回作の『硫黄島からの手紙』もご覧になったら、ぜひ感想アップしてくださいね。
Posted by Nyaggy at 2006年11月28日 13:00
Nyaggyさん こんにちは。
この作品も結構重かったです。さらに痛々しい描写が続くのも結構しんどかったです。
イーストウッド作品はキライではないんですが、取り扱う題材がどんどんヘビーになっていくので、個人的には年に一本くらいのペースでの鑑賞が丁度いいかなとも思いますけど。

『硫黄島からの手紙』は公開早々に観に行く予定なので、がんばって
早めにレビューアップしますね。
Posted by クマ at 2006年11月28日 16:47
TB&コメントさせてもらっちゃいますねぇ。

私もいわゆる敵方の話なので、面白くないだろうし、正当化されても納得できないと思ってましたけど、さすがクリント・イーストウッドでしたね。
納得と言うよりは、戦争に参加した全ての人の辛さを映像化したような映画だったので、
悲しさと空しさを感じました。
Posted by oguogu at 2011年04月28日 23:29
oguoguさん こんにちは。
コメントありがとうございます。返信遅くなってスミマセン。

この作品は今思い返してみても、非常に独特な雰囲気の戦争映画だったなぁと思います。
続編の「硫黄島からの〜」はさすがに客観視できない部分が多かったので、この作品との
不思議な距離感は印象的でした。
(「硫黄島からの〜」の感想をまだ書いてませんが、oguoguさんのレビュー拝見させて頂きました。
近いうちに記事UPしますので、その時はよろしくです。)
Posted by クマ at 2011年05月25日 13:40
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