母親の自宅の庭で夫と娘二人とトレーラー暮らしをするアン。自由になるお金は少ないながらも家族仲良く幸せに暮らしていた。そんな矢先、アンは一人トレーラーで倒れてしまう。その後念のため病院で精密検査をうけたアンは、主治医から思いもよらない内容を聞かされることとなる。正直、せつな過ぎて死にそう。わずか23歳という若さで死と向き合いながら、残された人生を精一杯生きる一人の女性の物語。余命2ヶ月という事実を母親や友人には勿論、夫にさえも隠したまま一生懸命生きようとする主人公の姿に思わず涙。残された人生、悔いのないようにと彼女はMust Doリストを作るわけですが、その内容がなんとも切ないんです。家族のため、そしてなにより自分のために最後まで前向きに生きるアン。リストに書かれたこと全てをやり遂げ人生の幕を下ろすことができた彼女は、実はこの世の誰よりも幸せだったんじゃないのかなぁ。個人的にはそんな風に思いました。
印象に残るのはなんといってもアンの潔さ。中でも残された娘二人への誕生日用にカセットテープにメッセージを吹き込むシーンとキラキラと光る暖簾越しに仲良く談笑する夫と二人の娘、そして彼女達の未来の母親になるかもしれない女性の姿を眺めるシーン。普通なら自分がいなくなった世界を想像するだけでも苦痛なんじゃないかって思うんだけど、その苦痛を通り越して家族の幸せを願っているってところがとても素晴らしくもあり、哀しくもありました。
以前観た時にはあまりにも残された生に対する執着がなさすぎるっていうところにひっかかりを感じていたのですが、今回改めて見直して見ると、人生の中にもう一つのストーリーを取り入れること自体が彼女の生への執着だったのかもしれないなぁって感じました。とはいえ、劇中一言も「死にたくない」っていうセリフが出てこなかったところは非現実的なような気がします。こんな状況に陥ったら誰でも一度は「死にたくない」って口にしてしまうのが普通だと思うのだけれど。
死に直面したその瞬間から世界が一変、それまで普通だったものが普通ではなくなり全てのことが特別でいとおしく思える。逆を返せば私たちは素晴らしいものに囲まれながらその素晴らしさに気付かず、無駄に毎日を送っているっていうことなのかもしれないですね。この作品を観て、改めてそんなことを考えさせられました。
*****作品データ*****
死ぬまでにしたい10のこと - MY LIFE WITHOUT ME(2003年/カナダ・スペイン)
監督:イザベル・コヘット
製作:エステル・ガルシア、ゴードン・マクレナン
製作総指揮:アグスティン・アルモドバル、ペドロ・アルモドバル、オグデン・ギャヴァンスキー
出演:サラ・ポーリー、スコット・スピードマン、デボラ・ハリー、マーク・ラファロ
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