2013/10/21

『桐島、部活やめるってよ』 ★★★★☆

桐島、部活やめるってよ」 ★★★★☆
The Kirishima Thin (2012年/日本)
監督:吉田大八
脚本:喜安浩平、吉田大八
原作:朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』
出演:神木隆之介、橋本愛、東出昌大、大後寿々花ほか
公式サイト:http://www.kirishima-movie.com/index.html

ネタバレあります。先入観なしでの鑑賞をお勧めしたいので、映画未見の方は先に映画をご覧になってからどうぞ。

一人の高校生が部活を辞めたことをきっかけに、その波紋が周囲に広がっていく様子を描いた青春群像劇。各所で高評価を得ているだけあってとても面白かったです。わざとらしいセリフもなければモノローグもなし。説明的な演出が一切ないところが潔くて非常に好ましい映画でした。久しぶりに面白い映画観たぞ!って感じ。

高校生らしく狡くて浅はかで利己的な部分は、正直観ていてムカムカ・イライラすることも多かった。でも、裏を返せばそれだけリアルに描かれている証拠かと。他にも、真面目さやひたむきさ、熱心さといったものを遠巻きに揶揄するところや、自分より立場の弱いものに自身のフラストレーションのはけ口を見出そうとするところなんかもとてもリアルに描かれてたと思う。しかもその内容が自分が学生だった頃と大して変わらないところに思わず苦笑いしてしまった。

リア充やオタク、筋肉バカとか真面目とかいろいろいて、それぞれに複雑な思いを抱えつつ、彼らなりに建前と本音を使い分けてそれぞれのポジションの中でバランスをとっている姿が印象的。そして桐嶋が消えたことによって、その均衡にヒビが入る。桐嶋への依存度によって影響度合いは異なるわけだけど、拠り所を失った人たちのうろたえぶりときたら尋常じゃない。だからこそそんな混沌の中にいても自分を見失わない前田の存在がひときわ冴えて見える(そもそも桐嶋に依存してないんだから当たり前だけど)。

持つものと持たないものの違い。それも単にもって生まれもった見た目や才能だけの話ではなくて、“自分”というものを持っているかどうか。同調圧力だとかスクールカーストだとかいろいろあるけど、表向きはともかくとして、最終的には他人との比較ではなく自分の軸がキモなんだ、ってことを考えさせられる。そこに気づくか気づかないか、それが大事。

もう一つ印象的だったのは、彼らが妙に現実的な視点で物事を見ているところ。野球部のキャプテンのドラフト発言もそうだし、前田のアカデミー賞発言もそうだし。この位の歳になってくると、自分の能力の限界みたいなものがあらかた解ってくるんだよね。夢と現実との折り合いが付き始めるというか、客観的な視点で判断ができるようになるというか。それは「諦め」でもあるわけだけど、そんな醒めたセリフが出るたびに少しさびしい気持ちにさせられました。
posted by クマ at 14:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | ★★★★☆



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