2013/12/21

『SHAME -シェイム-』

SHAME -シェイム-」 ★★★★★
Shame (2011年/イギリス)
監督:スティーヴ・マックイーン
出演:マイケル・ファスベンダー、キャリー・マリガン
公式サイト:http://shame.gaga.ne.jp/

全面ぼかしでぼけぼけになった画面(WOWOW放映は[R15+指定版]だったので)を観ながら泣きそうになったのは生まれて初めて(苦笑)。冒頭からの容赦ない性描写にドン引くものの、妹の歌を聞きながら涙ぐむシーンあたりからじわじわと、主人公の言いようのない孤独に浸食されていくことに。まさかキワドい描写を目の当たりにするたびにヒリつくような切なさに襲われる、という摩訶不思議な体験をすることになるとは思いもよりませんでした。

物語は、NYで独りで人暮らす男性のもとへ妹が転がり込んできたことをきっかけに、彼の生活が崩壊していく、というもの。兄は重度のセックス依存症であり、妹は恋愛依存症。疎ましがっていた妹を一旦受け入れてはみるものの、上司とは寝るし(しかも兄のベッドで!)、自慰行為は見られるし、性癖にも気づかれるしで踏んだり蹴ったり。心機一転、性癖を捨て身近な女性と親密な関係を築こうとするものの、あえなく玉砕。自暴自棄になり相手・手法かまわずヤリまくるのですが、やはりそれでも満たされることはなく…。とまあ、こう書いてみるとコメディのようでもあります。

そもそも原因に蓋をして対処療法ばかり取っているんだから改善の余地がないのはあきらかで、しかも本人もそのことはよく解っている節があるものだから始末が悪い。一部のレビューでは近親相姦的な感情が原因なのでは?との意見もありましたが、恋愛感情とはちょっと違うかな?というのが私の意見(正直、私も最初は近親相姦オチ?と思いましたけど)。愛を求める妹と愛を拒絶する兄。一見正反対に見える二人だけど、実は似たもの同士で、妹を直視するということは自分を直視することにつながるわけで、妹の弱さ(=自分の弱さ)を認めるのが怖かったんじゃないか、と。妹の手首のためらい傷と同様に、彼も無数の傷を抱えており、弱さの果てに死を選んだ妹を目の当たりにしたことで、ようやく手遅れになる前に自分の弱さ、すなわち愛と向き合う心境に達したのではないか、と。あくまでも私の想像ですけど。

さて、そんな過激なセックスシーン満載の作品ではありますが、一番印象に残ったのは主人公が夜のNYを走り抜けるシーンでした。妹が自室で上司といちゃこらしてるのに嫌気がさして部屋を飛び出し、夜のNYをひたすら走り続けるというシーンなのですが、なんつーか、もうね、泣ける。ひたすら走り続ける彼の姿を長回しで真横からずーっとカメラが追うんです。いくつもの交差点を越えて、住宅街や繁華街を走り抜けるんですけど、彼の如何ともしがたいもどかしい気持ちがね、伝わってくるんですよ、ひしひしと。この作品のキモはこのシーンにあるんじゃないかな、ってくらい印象的なシーンでした。

あと冒頭にも書きましたけど、自暴自棄になった主人公がだれかれかまわずやみくもに行為に至るシーン。ボカシでぼけぼけの画面の合間合間に主人公の表情が見え隠れするんですけどね、やればやるほどむなしいというか、虚無感に打ちひしがれていくように思えるんですよ。観ててホントに泣けますよ。傍から見るとすごく変な人に見られそうですけど。

とまぁ、個人的には凄くすごーく面白かったのですが、いかんせんエゲツナイ性描写がてんこ盛り過ぎて、気軽にお勧めできないのが残念です。でも本当に良い作品だと思うので、興味のある方は是非ご覧になってみてください。

※2013年12月21日現在、なんとAMAZONで驚きの70%OFF!DVDなら864円という超破格値です。
posted by クマ at 10:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | ★★★★★



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