2005/06/17

運命とは皮肉なものである 『アドルフの画集』

本日の映画:アドルフの画集 
第一次世界大戦後のドイツ。戦争で右腕を失ったマックスは工場を改造した画廊を経営していた。ある日画廊で行われたパーティーがきっかけで画家を目指す一人の青年アドルフ・ヒトラーと出会う。ヒトラーの作品に興味を示したマックスは彼の作品を画廊で扱わせてくれるよう交渉する。一方日々の生活にも窮していたヒトラーは生活費のため人々の前に立ち反ユダヤの演説を行う日々を送っていたがマックスとの出会いにより彼の希望通り制作活動に没頭できるようになり、次第に2人は打ち解けていく。マックス役にはジョン・キューザック、ヒトラー役にノア・テイラー。

若かりし頃アドルフ・ヒトラーは画家を目指していたというエピソードを元に作成されたフィクション作品。後に歴史上もっとも残忍で悪名高い独裁者として名を馳せることなったきっかけは実はこんな些細な行き違いだったかもしれない、そんな気にさせられる作品でした。もしもあの時違った道を選んでいたら、ヒトラーはどんな人生を送りこの世はどんな世界になっていたのか。鑑賞後はそんなことを考えさせられます。

みどころはノア・テイラー演じる画家としてのアドルフ・ヒトラーの姿。ヒトラーといえばその鬼気迫る演説が有名ですが、残念ながらこの作品での演説姿はあまり魅力を感じませんでした。そのかわり、画家としての彼の姿はとても上手くかけていると思います。キャンバスに向かい筆を手に絵を描こうとするも思うように手が動かない。真っ白なキャンパスを目の前にして途方もなく立ち尽くす姿は、まさに「生みの苦しみ」といえるでしょう。自分の手で何かを創り出す時に必ず経験する試練のようなものですね。描けない自分に苛立ち自信を亡くながらもそれでも描きたいと思う、そんなヒトラーの姿がリアルに描かれています。創造活動に興味のない方はあまり面白みを感じないかもしれませんが。

とても静かで哀しい作品。その後ヒトラーが創り出す歴史を暗示するかのようなラストシーンはやるせなさを感じますが、ヒトラーという難しい題材を使った割にはそれほど重くなく、むしろ共感できる部分もあったという不思議な作品でした。

*****作品データ*****
MAX(2002年/ハンガリー・カナダ・イギリス)
監督:メノ・メイエス
製作:デイモン・ブライアント、アンドラス・ハモリ
出演:ジョン・キューザック、ノア・テイラー、リーリー・ソビエスキー、モリー・パーカー
posted by クマ at 17:59 | Comment(0) | TrackBack(1) | ★★★☆☆



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Excerpt: DVDで『アドルフの画集 原題:MAX』を観ました。 主演に『アイデンティティー』の「ジョン・キューザック」、『バニラ・スカイ』の「ノア・テイラー」。 第一次世界大戦後のドイツ。ユダヤ人の『マッ..
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Tracked: 2005-06-19 19:08
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