2005/09/02

松坂慶子がノーメイクで挑んだ迫真の演技は一見の価値アリ! 『死の棘』

死の棘本日の映画:死の棘 
島尾敏雄の同名小説を小栗康平監督のもと映画化した作品。夫トシオの不貞を知ったことにより精神的に壊れてしまった妻ミホ。妻を突然襲う激しい発作にも屈せず、真正面から向き合おうとするトシオだったが、その甲斐もむなしく仲睦まじかった家族は徐々に崩壊へと近づいていく、というストーリー。第43回カンヌ映画祭審査員特別グランプリ受賞作品。主演は松坂慶子、岸辺一徳、木内みどりほか。

この作品、何といっても主演の松坂慶子の演技がスゴイ!実際に精神に異常をきたしてしまった方を間近にしたことがないのでリアリティに関してはなんとも言えないのですが、それでもこの作品の松坂慶子の演技は鬼気迫るものがあります。ノーメイクで挑んだというところにもこの作品への意気込みを感じますし(とはいえ、ノーメイクとは思えない美しさですが)、正常な精神状態の時とのギャップがより異常さを際立たせます。さらに、夫役の岸辺一徳も負けず劣らずいい味出してます。日々発狂する妻を目の当たりにし、彼女を裏切ってしまったという負い目を感じながらも忍耐強く妻を支える夫っている役なのですが、そんな複雑な心境がひしひしと伝わってくる、そんな素晴らしい演技でした。

夫の不貞がきっかけで徐々に精神に異常をきたし、日々発作の恐怖に怯えながら暮らす一家。自分をコントロールできない妻とばらばらになっていく家族をなんとか繋ぎ止めようとする夫。そんな綱渡り的生活を淡々と描いた作品です。発狂を繰り返す妻の姿も痛々しいのですが、その妻を見捨てることなく最後までそばにつきそう夫の姿がたまらないですね。重いし暗いし、正直直視するのが辛い作品ではあるのですが、その内容ゆえ強烈に脳裏に焼きついてしまい、ふとしたときに記憶に沸きあがってくるようなそんな作品。邦画にもこんな作品があるんだなぁと正直驚きました。

この作品では夫婦のやり取りがメインになっていることもあり、精神異常のきっかけとなった夫の浮気については浮気相手が2度ほど出てくるだけに留まっていますが、原作のほうではこちらのストーリーにもそれ相応のドラマがあるようです。「映画化は困難」といわれていた小説とのことですので、原作のほうも折を見て読んでみたいと思います。
*****作品デ−タ*****
死の棘(1990年/日本)
監督:小栗康平
原作:島尾敏雄
出演:松坂慶子、岸部一徳、木内みどり
小栗康平オフィシャルサイト:http://www.oguri.info/

小栗康平監督作品集DVD-BOX 
小栗康平監督作品『泥の河』、『伽・子のために』、『死の棘』、『眠る男』の4作品プラス特典ディスクの5枚組DVD-BOX。

島尾 敏雄 (著) 死の棘
原作本もあわせてどうぞ。
posted by クマ at 16:58 | Comment(0) | TrackBack(1) | ★★★☆☆



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<死の棘> 
Excerpt: 1990年 松竹 小栗康平監督 115分  出演:ミホ:松坂慶子    シマオ:岸部一徳    シマオの愛人:木内みどり
Weblog: 楽蜻庵別館
Tracked: 2006-01-15 21:50