2005/09/30

虚ろで美しく、哀しみに満ちた最後の二日間 『鬼火』

本日の映画:鬼火 
アルコール中毒の治療のため精神病院に入院するアラン。妻の友人も医者も病状が回復していることを理由に退院を勧めるが、外界への欲望を一切失ってしまった彼はそんな人生に絶望し自殺という手段で自らの人生を閉じようと決意する。そして人生最後の日を過ごすためパリへと向かう。監督はルイ・マル。主演はモーリス・ロネほか。

この作品、かなり私好み。人生に絶望し全ての助けを拒絶しながら死に向かう一人の男性の最後の二日間を描いた作品。重く暗く陰鬱としていて、決して救われるようなストーリーではありません。でもキライじゃないです、こういった雰囲気。むしろお気に入りに即追加したい位、好きな類の作品です。ストーリーも映像も音楽も、全てが完璧!たまにこういった「これぞ人生の一本!」的な作品に出会えるから映画はやめられないのよね。

実はルイ・マル作品を観るのはコレが初めて。なんていうかとてもレビューしづらい作品だなぁって思います。あの独特の肌に突き刺さるような虚無感は筆舌に尽くしがたいというかなんというか。人によっては全く共感できる部分がない、そんな作品だと思います。しかし、あの陰鬱さは見てるだけで感染しそうですね。どこまでも一緒に堕ちていってしまいそう(笑)。

みどころは、ずばり全て!と言いたいところですが、強いて言うなら仲間との会食シーンかな。生命力がなく存在自体が希薄で影が薄く半透明な感じのアランが唯一実体を伴った人間として感じられたのがあのシーンだけでした。あのシーンでアランの絶望が後戻りできないところまで追い込まれてしまったように思えます。さらに言えば、カフェで一人お酒に手を出してしまうあたりから、なんともいえない絶望感が押し寄せてきて、会食シーンでとどめを刺されたといった感じ。この絶望感、空虚感、厭世観、あぁたまらない。悶絶。

最近、とりわけフランス映画に凝っている私としては、『アメリ』や『世界でいちばん不運で幸せな私』のようなフランスならでわといった小粋な“陽”の雰囲気を持つ作品も好きですが、どちらかというとこの作品のような“陰”の雰囲気を持つ作品にとても興味があります。タイミングの良いことに10月のWOWOWではフランソワ・トリュフォー特集を放送するようですし、このフランス映画熱は当分続きそうです。
*****作品データ*****
鬼火
LE FEU FOLLET/THE FIRE WITHIN(1963年/フランス)
監督:ルイ・マル
出演:モーリス・ロネ、ベルナール・ノエル、ジャンヌ・モロー
  →この作品をAMAZONで確認

『ザ・ベスト・オブ・サティ』
この作品で使われているエリック・サティの『ジムノペディ』。別件で最近良く耳にしていた事もあって、偶然とはいえこの曲が流れたときには正直鳥肌が立ってしまいました。そんなこともあって『ジムノペディ』を始めとするサティの作品にとても興味が湧いてしまい、とうとうこんなCDまで購入することに。
サイト名は忘れてしまったのですが「サティを聞くならチッコリーニが断然お勧め」という記事を目にしたので、手始めにこのCDを購入。お勧めされているだけあってとても素晴らしい1本でした。クラシックって全く知識ナシのド素人なのですが、このCDは買ってよかったって思います。映画と一緒に是非試してみてください。私もお勧めします♪
posted by クマ at 16:06 | Comment(4) | TrackBack(1) | ★★★★★



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この記事へのコメント
こちらでは初めまして☆
私も「鬼火」大好きです〜っ!!!
ルイ・マルは「地下鉄のザジ」「鬼火」を観てハマリました。
この映画は言葉で説明しにくいですよね。
でも響くものが大きくて、観るたびに感激します☆☆☆
Posted by run at 2005年10月12日 13:59
runさん こんにちは。
『地下鉄のザジ』、とても評判良いのですごく興味があります。
『鬼火』でフランス映画熱に拍車がかかりましたので、runさんのブログ、作品選びの参考にさせていただいています。
つたない文章ですがこれからもよろしくお願いいたします。
Posted by クマ at 2005年10月12日 15:07
TB、コメントありがとうございました。
そうですね、ホント、これのレビューを書くのが難しかった><
感想はクマさんと同じです。
ものすごい響きました。
Posted by こま at 2005年10月27日 14:52
こまさん こんにちは。
個人的にとっても心に残った作品だったので、レビューを書いている方を見かけるといてもたってもいられなくなってしまうのです(笑)。
いい作品ほどレビューを書くのは難しいですよね。
Posted by クマ at 2005年10月27日 14:59
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Tracked: 2005-10-12 14:00