本日の映画:2046 1967年、シンガポールを後に一人香港に戻り、夜ごと喧騒の中女たち一夜限りの関係を重ねていたチャウ。ある夜、偶然出会った旧友とホテルの一室で一夜を過ごしたことがきっかけとなり、そのホテルに長期滞在することになる。生活費を稼ぐため新聞記者から物書きへと転向した彼は、そこで出会ったオーナーの娘ジンウェンと日本人との悲恋の物語からインスピレーションを受け『2046』と題したSF小説を書き始める。監督・製作・脚本はウォン・カーウァイ。出演はトニー・レオン、フェイ・ウォン、チャン・ツィイーほかアジアを代表する大物俳優達という超豪華キャスティング。
『花様年華』の続編的作品として作られた一作。『花様年華』に流れていたあの寂しげで哀しげな雰囲気はそのままに、よりに退廃的にそして自虐的になったチャウと彼の人生を通り過ぎていった華やかな女性達との物語が静かに描かれています。ストーリーには艶かしさ、そして映像にはSFっぽさが追加され、古いようでいて新しい、そんな不思議な作品に仕上がっておりました。ウォン・カーウァイ監督独特の美しい色彩とゆったりと流れる時間がとても印象的です。
主演のトニー・レオンをはじめ、チャン・ツィイー、コン・リー、カリーナ・ラウ、マギー・チャンら出演する全ての俳優から枯れた大人の色香を感じる作品でした。ただ一人を除いては。それは木村拓哉。彼はフェイ・ウォンの日本人の恋人役と小説『2046』の主人公の二役をこなしているのですが、その青臭い演技は観ていてかなり違和感を感じます。私の中でアイドルとしてカテゴライズされているあのフェイ・ウォンでさえ作品の雰囲気に溶け込むよう上手く演じていたし、その絶望的な心情が滲み出たような表情にはとても驚かされたのですが、それ以上に彼の演技は衝撃でしたね。調和の取れたこの作品の中で唯一不協和音を響かせる存在といっても過言ではないです。冒頭に流れる列車内でリンゴをほおばる彼お得意のあの演技、あぁもう!あまり書くと彼のファンに恨まれそうなのでこの辺で止めときますがホントにもう…!って感じですね(ファンのみなさんにはホントに申し訳ない)。
さて、肝心のストーリーはというと、前作同様『かなわぬ愛』がその最大のテーマとなります。トニー・レオン演じるチャウは過去の痛手からか深い付き合いを強要することもされることも避けつつも、親しくなった女性達に対して持てるもの全てを与え心底優しく接します。女性達はそんな彼を『優しい』と形容するのですが、その優しさゆえに傷つき彼の元を去っていきます。そして彼自身、そんな自分のどうしようもない状態に傷つき頑なになっていきます。いつも誰かが傷ついている、そんなどうしようもなく哀しいストーリー。作品の中に救いは見つけられない(唯一フェイ・ウォンだけは幸せになった)けど、こういった絶望的な雰囲気、キライじゃないです。
ところで、今作と前作の『花様年華』に『欲望の翼』という作品を加えたこの3作品が絶妙に絡み合って一つの作品を形作っているということを聞き、未見の『欲望の翼』に俄然興味が湧いております。今のところ先に述べた理由でこの作品に対する評価は多少下がってしまいましたが『花様年華』が秀逸だっただけに、『欲望の翼』の感想次第ではウォン・カーウァイ作品大人買いをしてしまうかもしれません。でも、とりあえず『花様年華』は買っとくか。
*****作品データ*****
2046(2004年/香港)
監督・製作・脚本:ウォン・カーウァイ
出演:トニー・レオン、木村拓哉、コン・リー、フェイ・ウォン、チャン・ツィイー、カリーナ・ラウ、チャン・チェン、ドン・ジェ、マギー・チャン
公式サイト:http://www.2046.jp/ →この作品をAMAZONで確認



