2005/11/28

妖艶にして難解 『ツィゴイネルワイゼン』

本日の映画:ツィゴイネルワイゼン 
大学教授の青地は旅先で殺人事件の犯人扱いされている元同僚の友人中砂と出会う。青地の出現により容疑の晴れた中砂は青地と連れ立って鰻を食べに行き、そこで芸者・小稲(大谷)に会う。その一年後、中砂に結婚したという連絡を受けた青地は彼の家を訪ねるが、そこにいた妻・園が小稲に瓜二つであることに驚く。監督、鈴木清順。出演は原田芳雄、藤田敏八、大谷直子、大楠道代ほか。

1980年に東京タワーの駐車場に創られた銀色ドーム型テント・シネマプラセットで上映され9万6千人を動員した記録を持つ鈴木清順監督の代表作。以前からその不思議なタイトルと妖しげなジャケット写真に魅かれずっと気なっていた作品。第一印象どおりとても難解かつ魅力的な作品で邦画の底力を垣間見たようなそんな感じのする作品でした。

全編通して妖艶な雰囲気に包まれ、夢とも現実とも判断つかない映像が流れていきます。白昼夢を観ているような、そんな感覚にる作品。うっかりしていると作品の雰囲気に飲み込まれてしまいます。「骨」「肝」「こんにゃく」「目玉」「切り通し」印象に残る映像を数え上げたらキリがありませんが、やはりなんといっても作品冒頭、大谷直子演じるおいねさんの骨のような細く真っ白な腕が印象的。邦画独特のひんやりと湿った色気を感じる映像です。

ちなみに「目玉」のエピソードはその映像があまりにも強烈で、伊丹十三監督の「タンポポ」の生卵シーン以来の衝撃をうけました。あまりにもエロ過ぎてトラウマになりそう。子供には見せられませんね(笑)。

キャスティングもすばらしく、自由奔放でまったく悪びれない中砂役に原田芳雄、そして中砂とは正反対に知的で物静かなたたずまいの青地役に藤田敏八。全く正反対の性格の二人が酒を酌み交わすシーンの会話が妙によそよそしくて印象に残ってます。で、やっぱり大谷直子、大楠道代の画面から滲み出るような色気もまた印象的。和服姿の女性は文句なく美しいです。改めて感心いたしました。

昔の作品らしく、差別的要素を極力排除され無菌化された現代に生きる者にとっては居心地の悪い演出もチラホラと出てきますが、それもまた日本映画らしいといえばらしいです。考えてみたら昔の日本映画って結構お構いナシに差別的表現がガンガン出てきますよね。変に偽善的でないところもまたこの作品の魅力の一つなのかもしれません。

ネット上ではこの作品に魅了された沢山の方々がこの作品で描かれた鎌倉のロケ現場めぐりをしている様子を公開しています。「釈迦堂の切り通し」は印象に残るシーンの一つでもあるので、機会があったら是非一度訪れてみたいものです。
*****作品データ*****
ツィゴイネルワイゼン(1980年/日本)
監督:鈴木清順
出演:原田芳雄、藤田敏八、大谷直子、大楠道代
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posted by クマ at 16:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | ★★★★★



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